世界各地で10代の少年少女を自殺に追い込んだ恐怖のゲームをご存知でしょうか。
その名も「青い鯨(Blue Whale)」。
ロシアのSNS上で行われた自殺ゲームは、世界中に拡散されて多くの尊い命を奪いました。
検索してはいけないと言われている青い鯨について、詳しく調べてみました。
青い鯨は検索してはいけない言葉?

ロシアのSNSに端を発して、参加者を自殺に追い込むゲーム「青い鯨」。
いわゆるソーシャルゲームとは異なり、ゲーム感覚で自殺を誘発していくSNS上の自殺コミュニティです。
関わった多くの人たちが実際に自殺をしており、検索してはいけない言葉とも言われています。
インド政府は、Google、Yahoo、Twitter、Facebookなどに対して、青い鯨に関するリンクを見つけ次第削除するように要請した程です。
世界中を恐怖に陥れた青い鯨とは、一体どのようなゲームなのかをみていきましょう。
青い鯨(ブルーホエール)とは
青い鯨は、2015年頃から流行った自殺ゲームです。
ゲームと言っても、アニメーションの世界で楽しむソーシャルゲームではありません。
ロシア最大のSNSである「VKontakte(フコンタクテ)」上にある、「死の集団」と呼ばれる自殺コミュニティ内で行われました。
そのゲームは10代の少年少女をターゲットにしており、当初はコミュニティに参加した130人が自殺をしたと報道されました。
ゲームで人を死へと導くことは本当に可能なのでしょうか。
実際のゲームでは、メンターと呼ばれる管理者の指示に従って、参加者は50日間毎日ミッションを遂行します。
そのミッションは、最初は簡単に実行できるものですが、徐々にエスカレートをしていき50日目には死へと誘導されます。
多くの犠牲者を生んだ「青い鯨」の首謀者は、2016年11月に逮捕されました。
しかしその後も青い鯨はSNSで拡散され、インドやアメリカ、ブラジルや中国など、世界各国で模倣されて少年少女を自殺に追いやっています。
青い鯨の由来は?

青い鯨(Blue Whale)は、シロナガスクジラのことを指します。
青い鯨の由来は不明ですが、シロナガスクジラが自らを岸に打ち上げて集団自殺するという逸話からきているのではと言われています。
また、ロシアのロックバンド、ルーメンの曲のセリフに由来するという話もあります。
ゲームのミッション内でも、「鯨の写真をSNSに投稿する」や「鯨を手に彫る」など、鯨は美化された死の象徴とされました。
青い鯨のゲーム名は、「シロナガスクジラ」や「Blue Whale Challenge(ブルーウェールチャレンジ)」とも呼ばれています。
青い鯨では50日指示をこなす必要がある?

ゲーム中は、50日間毎日管理者から送られてくる指示をこなさなくてはなりません。
最初のうちは簡単なタスクですが、だんだんと常識では考えられない危険な指示が送られてきます。
具体的にはどのような指示が行われていたのか、詳しく確認しましょう。
青い鯨の指示:簡単なタスク

実際に行われていた50のタスクのうち、簡単なものは誰でもできることです。
鯨を書いたり、音楽を聞いたり、ホラービデオを見るなどです。
こういった指示を送ることで、自殺へのハードルを下げていったのかもしれません。
- 紙切れに鯨を書く
- 送られてくる音楽を聞く
- 4:20に起き、ホラービデオを見る
青い鯨の指示:危険なタスク

管理者からの指示は、徐々に危険なタスクに移行していきます。
自傷行為を求めるものや、線路や屋上といった自殺を連想させる場所に向かわせるものなど、普通では受け入れ難いものが多数あります。
- 自分の手や腕に指定のフレーズを彫る
- 腕を縦に切る
- 引っかき傷でメッセージを腕に書く
- 鯨になる準備が出来たら足にYesと書く。または、自分に複数の傷をつける
- 自分を傷つけたり、病気にする
- 4:20に起きて屋上へ行く
- 唇を切る
- 屋上に行って端に立つ
- 手に鯨を彫る
- 針で手や腕をつつく
- クレーンを登る
- 屋上に、足をぶらぶらさせて座る
- Skypeで鯨と会話する
- 鯨になることについてオンラインで表明する
- 鯨と会う
- 管理者に死ぬ日を指定されて、それを受け入れる
- 一日中誰とも話さない
- 鯨になると誓う
- 線路へ行く
しかし、タスクをこなしていくうちに、参加者は段々と判断能力を奪われていき、管理者には逆らえない状況の中で、危険な行為も受け入れていったようです。
青い鯨をリタイアしようとすると脅される?

青い鯨に参加する中で、危険性を察知して途中でリタイアをしようとする人はいなかったのでしょうか。
そういう人も多くいたようですが、「住所はわかっているので、実行しなかった場合は家に行き、君と家族に危害を加える」と管理者が脅して離脱することを許さなかったようです。
さらに管理者は言葉の暴力によって参加者の自己肯定感を剥奪し、自傷行為を繰り返す中で管理者は絶対だというマインドコントロールにかかります。
普通ではしない異常な行動を実行する中で、「もう後戻りができない」と思い込ませる恐ろしさがあったようです。
こうして、管理者の命令に従順だった少数の若者だけが自殺を図ったと見られます。
青い鯨の50日目はどうなる?

管理者から送られてくる50日目の最後の指示は、自殺を実行に移すという内容です。
「高いところから飛び降りる」や「走っている電車に身を投じる」など、直接的な指示でした。
自殺の様子をSNSで実況する子どもも多くいたそうです。
こうして、10代の少年少女たちがその短い生涯に自ら幕を下ろしていきました。
VTuberの郡道美玲が起こした青い鯨事件とは?

2023年3月に、日本で再び青い鯨がクローズアップされてネットで話題になっています。
VTuberの郡道美玲さんが、青い鯨を真似たゲームを行なっていたという疑惑が浮上したためです。
郡道美玲さんが関わったとされる青い鯨事件とは、どのようなものだったのでしょうか。
VTuber・にじさんじの郡道美玲とは

郡道美玲さんは、バーチャルライバーグループ「にじさんじ」に所属する人気VTuberです。
男子校の女性教師という設定で、根強いファンが多くYouTubeやTwitterの登録者は約45万人います。
一方で普段から過激な発言が目立ち、過去に幾つもの炎上を経験しています。
直近では、WBCの実況観戦をしていた郡道美玲さんが、自身のTwitter公式アカウントで以下のような不適切な発言をして炎上しています。
「これ玉投げる人、強い人が立った時に頭か身体を投げちゃえば出場停止にできるんじゃないの?」
このことを受けて彼女は、2023年3月23日から所属会社より活動謹慎処分を受けています。
問題となった青い鯨事件とは?

郡道美玲さんがWBC実況観戦で炎上した際、彼女の過去の疑惑にも触れられました。
郡道さんが、青い鯨に似たゲームをしていたとされる「青い鯨事件」です。
「教えて郡道先生」と名付けられたゲームは、2021年にメンバー限定配信の中で行われました。
郡道さんは、スパチャを投げたリスナーに、デイリーミッションという指令をリスナーに課していたそうです。
「真冬の公園の噴水に入る」「土を食べる」「リンスを舐める」「カツアゲをする」など過激なものも含まれます。
実際に郡道さんが青い鯨を模倣したのかは不明で、リスナーもそれほど恐怖感を感じていなかったためか、当時は大きな問題にならなかったようです。
青い鯨事件で郡道美玲が解雇?

WBC観戦での不適切発言に、青い鯨事件も注目され、郡道美玲さんは解雇されるのではとネット上で囁かれています。
彼女は普段から過激な発言が多く、一部からは解雇を求める声が以前から上がっていました。
このまま解雇をされてしまうのでしょうか。
青い鯨を真似たゲームではないかという疑惑は、事実かどうか定かではありません。
解雇を主張する声は多いのですが、実際には解雇されないだろうという意見が大半です。
今後の行方は、郡道さんの所属会社による判断となるでしょう。
青い鯨事件に対するSNSの反応

Twitterでは、今回の青い鯨事件について、様々な反応が寄せられています。
多くは否定的なコメントで、青い鯨のように危険な行動をファンに強制したことを咎めるものです。
郡道美玲で一番ヤバいの「”デイリーミッション”と称して、過激で危険な行動をファンにとらせようとした」だと思ってるんだけど、そこまで燃えなかったのなんでだったんだろうな。これ単体で一発解雇でいい気がするけど
— りろりろ (@lirorioliro) March 24, 2023
一方で、ファンに危険な行動を強制したことは認められないとしつつ、「青い鯨」というキーワードが1人歩きしていると擁護する意見もあります。
アンチの人たちによる煽動ではないかという声も聞こえてきます。
郡道美玲さんやった事(かどうかも定かではないんだけど)も『青い鯨』という文章がなければこれほど炎上してはいなかったと思う(行為自体は褒められたものでは到底ないにしても)
それよりも、この暴露系の人の何としても炎上させてやろうというその魂胆があまりにも見え透いて、アカウント名すらも— モジャ (@Mojaaflo) March 29, 2023
郡道美玲が解雇されない理由とは

それではなぜ、にじさんじを運営するANYCOLOR株式会社は、郡道さんを解雇しないと言われているのでしょうか。
ネット上では、様々な憶測が飛び交っています。
- 彼女がもし解雇された場合、会社の内部情報を暴露される危険性がある
- 単純に根強いファンがいる人気VTuberだから解雇されないだろう
彼女が現時点で活動謹慎処分ということは、解雇に値する行動はなかったという判断なのではないでしょうか。
青い鯨によって自殺者が急増?

青い鯨の存在は世界中に拡散され、日本でも大きな話題となりましたが、日本人で被害にあったという声は聞こえてきません。
しかしゲームが始まったロシアでは、多くの若者が青い鯨に関わって自殺をしています。
青い鯨が登場したことによって、本当に自殺者は増えてしまったのでしょうか。
青い鯨によって何人の自殺者が出た?

ロシアのタブロイド紙であるノーヴァヤ・ガゼータでは、「青い鯨によって2015年11月から2016年4月までの間に130人もの人々が自殺をした」と報道されました。
後に青い鯨との関連性が特定できたのは、80人程度だと訂正されています。
しかし実際には130人をはるかに超える症例があるという主張もあります。
このショッキングなニュースは、ロシア国内外に大きな衝撃を与えました。
2016年のロシアにおける若年層の自殺率は、57%増加したとも言われています。
しかし注意すべきは、自殺した人々は青い鯨の被害者であっても、自殺の原因が全て青い鯨にあるとは言えないことです。
ジャーナリストも警察も、自殺者が青い鯨と関連していることを証明した例はないようです。
元々うつ病などで苦しむ若者が自ら自殺コミュニティに入っているので、青い鯨によって背中を押されたという方が正しいのかもしれません。
青い鯨によって死亡した人とは

ロシアでは当時、青い鯨と接触のあった自殺者は多かったようです。
2015年のクリスマスの日に、12歳のAngelina Davydovaさんが自殺をし、その約2週間後に10代のDiana Kuznetsovaさんも自殺をしました。
彼女たちは同じオンライングループに所属しており、そのグループでは自殺や青い鯨について多数の言及が含まれていました。
またロシア警察では、Yulia KonstantinovaさんとNika Volkovaさんという2人の女性が、青い鯨と関わりを持って自殺したとみています。
2人は一緒にマンションの14階から飛び降りて、亡くなりました。
Yuliaさんは、自殺をする前に鯨の写真をSNSに投稿しています。
他にも、通勤電車に身を投じた14歳の少女や、建物の5階から身を投げた15歳の少女もいたようです。
青い鯨の存在が広まるきっかけになった少女の自殺

2015年11月に、ロシア南東部に住む17歳のRina Palenkovaさんが線路のそばで自撮りをした写真をSNSに投稿し、その後列車に轢かれて自殺しました。
彼女の死はSNSを通じて、ロシアの10代の若者の間で話題となります。
それから青い鯨はゲームのシンボルとして彼女の写真を用いて、「リナのようになるまで追い込む」という悲しい言葉が彼らのスローガンとして使われました。
ラジオ局が青い鯨の制作者に直撃した?

青い鯨の存在を確かめるために、ラジオ局「ラジオフリーヨーロッパ」のジャーナリストが、参加者になりすまして「死の集団」にコンタクトをとっています。
彼によるとゲームを始める前には、一度ゲームを始めたらやめられないことを念押しされ、最後には死ぬ覚悟があるのかを最初に突きつけられるようです。
ジャーナリスト「このゲームをプレイしたい」
死の集団 「本当に?もう後戻りはできませんよ?」
ジャーナリスト「はい。それはどういう意味ですか?もう戻れないのですか?」死の集団 「一度ゲームを始めたら、そこから抜け出すことはできません」
ジャーナリスト「準備はできています」死の集団 「誰にも知られずに、1つ1つのタスクを真剣にこなしてください。タスクが終わったら写真を送ってください。ゲームの最後にあなたは死にます。準備はできていますか?」
ジャーナリスト「もしやめたくなったら?」
死の集団 「私はあなたの情報を全て握っているので、あなたを追いかけます」引用:ラジオフリーヨーロッパ
ゲームが始まると、「F58という文字を自分の腕に刻んで」という1つ目のタスクが課されたそうです。
ジャーナリストがフォトショップで合成した証拠写真を送ったようですが、偽物と見破られたのか死の集団から返事はなかったそうです。
青い鯨はゲームの最初の段階で、慎重にターゲットをふるいにかけていたようです。
青い鯨の首謀者が逮捕された?

2017年5月に、青い鯨の首謀者の1人とされるPhillip Budeikin(フィリップ・ブディキン)という21歳の男性が逮捕されました。
彼は2013年から2016年の間に8つの自殺グループを作り、その中で実際に自殺をしたのは17人だと語っています。
フィリップ・ブディキンは心理学を専攻していた過去があり、その知識を活かして青い鯨のシステムを2012年から構想していたそうです。
インターネット収益を目的にした犯行だったようです。
逮捕後には被害者に対して謝罪をしないどころか、「社会の役に立たない生物的ゴミを排除しただけだ」と高圧的な供述を繰り返したそうです。
フィリップ・ブディキンは自殺教唆で3年以上の実刑を受けています。
青い鯨は心理学的にヤバい?洗脳される?

なぜここまで多くの人たちが、青い鯨と関わってしまったのでしょうか。
青い鯨の首謀者たちは心理学に精通しており、心が弱っている若者たちを巧妙に自殺へと導いていったようです。
そのシステムは、心理学的アプローチを用いて、洗脳状態を作り出したものだったとも言われています。
青い鯨が心理学的にヤバい理由!

青い鯨は、逮捕されたフィリップ・ブディキンをリーダーとして、心理学を熟知した人間達で構成されていたと言われています。
彼らは、以下のように心理学的アプローチを巧みに用いて、少年少女の心を自殺へと誘導させています。
- 否定的な言葉で自己肯定感を下げる
- 睡眠時間を減らして判断能力を低下させる
- マインドコントロールで指示を実行させる
- 閉鎖的なグループの中で、精神的に追い込まれていく
- 主に判断能力が備わる前の10代の少年少女をターゲットにしている
- 最初は簡単な指示なので「ゲーム感覚」で少年少女たちが参加していく
- 「選ばれし者だけの世界がある」と自殺を誘発する
ゲーム参加者には、身体的精神的ダメージを大きく与えて、判断能力や生きる意欲を奪います。
さらに青い鯨の残忍なところは、まだ精神的に発達段階である10代をターゲットに絞っているところです。
青い鯨は弱っている少年少女たちの心の隙につけこみ、ゲーム感覚で自殺に巻き込んでいきました。
青い鯨をやると洗脳される?

ITジャーナリストの三上氏によると、青い鯨のような自殺ゲームは、インターネットを通じた洗脳作業だと述べています。
「要求をこなしていくうちに、ある種の洗脳状態に陥る。その様子は周囲からはほぼ見えない。そして誰に相談しないまま、突然自殺してしまうことになる」と分析しています。
実際にゲームが始まると管理者たちは、女性なら「太っている」などのコンプレックスを強調し、男性なら「負け犬だ」と罵って自己肯定感を奪います。
また指示を実行する中で、管理者と参加者の間に主従関係が作られ、命令に逆らえないようにされます。
逮捕された首謀者は、洗脳しやすい状況を作り出すために、相手の睡眠時間を奪うことが不可欠だと述べています。
自傷行為を繰り返す中で、言葉と肉体的な暴力が日常化して、ますます洗脳から逃げられないという悪循環に陥っていったようです。
青い鯨に巻き込まれないために

青い鯨は、未成年者が興味本位で検索してはいけない言葉でした。
首謀者の1人が自殺教唆で逮捕されましたが、その後も世界では青い鯨を模倣したゲームが相次いで起きています。
生きるのに辛さを感じる若者たちが、これ以上無責任な大人に狙われないことを願ってやみません。