日本人はあまり聞きなれない「アシッドアタック」ですが、実は日本でも硫酸をかけるという卑劣な犯行は少なくありません。
近年だと、2015年の高崎硫酸事件や、2021年の白金高輪駅で起きた硫酸事件が記憶に新しいのではないでしょうか。
アシッドアタックは最も卑劣で卑怯な犯罪とも呼ばれていますが、それはなぜでしょう。
海外では、嫉妬などが原因でモデルたちもアシッドアタックの被害にあっていました。
もしもアシッドアタックをされたらどうすればいいのか、対策はあるのか、卑劣な犯罪の被害者にならない為にも、知識を増やしておきたいところです。
アシッドアタックとはどんなものかを詳しく見ていきましょう。
アシッドアタックの真相がヤバい?女性の顔を奪う卑劣な犯行とは?!
アシッドアタックが世界で一番多い国はバングラディッシュ。
この国は未だ女性を蔑視する文化が残っており、その為アシッドアタックのような犯罪も多いのだとか。
被害者の先の人生を狂わせるにも関わらず、刑は決して重くないと言われています。
元々は中東などで多かったこの犯罪、現在は世界中で増加しているともいわれており、国内でも十分に注意する必要があるのです。
アシッドアタックとはどんなものなのか、許せない犯行を詳しく見ていきましょう。
アシッドアタックとは?されたらどうなる?
アシッドアタックは、硫酸や塩酸などの酸を相手に浴びせかけ、皮膚や骨までを溶かすことです。
主に女性の顔をめがけて行われ、アシッドアタックをされた女性は、顔が大きく変形し失明したり鼻や耳を失ったりするようです。
ひどい時は顔の骨まで溶けてしまい、原形がわからなくなることも。
もちろんひどい痛みを伴いますが、何よりもアシッドアタックをされた後に鏡で自分の顔を見た時に負う心の傷の方が大きいと言えるでしょう。
酷いやけどは皮膚を溶かし、ケロイドに変形させてしまうのです。
海外モデルもアシッドアタック被害に?!骨をも溶かす酸がヤバい!
2008年にイギリスのモデル、ケイティ・パイパーさんはフェイスブックで知り合った男性から顔に酸をかけられました。
彼女は昏睡状態が続き、左目を失明、顔に一生消えない傷を負ったのです。
それでも一命をとりとめたケイティ・パイパーさんは、母に自分を殺してほしいと懇願したこともあったのだとか。
しかし彼女は40回以上の手術を受け、なんとか立ち上がり、現在は素敵なパートナーに巡り合って結婚2児の母となっていました。
この時の犯人はステファン・シルベスター、酸をかける前に性暴力も犯しており、終身刑が言い渡されています。
元恋人に酸をかけられる事例も?目は失明100回の手術も顔は元に戻らない?!
2009年には、ベルギーのファッションモデルであるパトリシア・ルフランさんが配達員に変装した元恋人に硫酸をかけられました。
この時彼女には3人の子供がいたのですが、硫酸をかけられた時は自分の腕が見る間に溶けていき、このまま死ぬんだ、と感じていたようです。
運よく、パトリシア・ルフランさんは一命をとりとめましたが、片方の目の視力を失って、鼻や瞼そして片耳は溶けてしまいました。
3ヶ月にも続く昏睡状態の後、顔を戻すために100回以上も手術を受けています。
しかし、溶けて失った顔は戻らず、なぜ助けたのかと医師を恨んだこともあったようです。
彼女は被害にあってから6年以上外出もできなかったようですが、その後「涙のクチュリエ」のいう写真集でモデルとして、そしてアシッドアタックの被害者としてその姿を公開しています。
アシッドアタックの加害者は数年刑務所で過ごすだけだけれど、被害者は一生苦しむことになる、加害者には、やってやったという満足感を決して与えたくはないと語りました。
彼女が主張していたのは、ファッション業界での「酸」の管理の杜撰さです。
一部では服を製造するにあたって、酸や有害な化学物質が使用されていることが問題視されていますが、この製造工場が多数ある地域ではアシッドアタックも多発しているのだとか。
酸が手軽に手に入らないようにと、パトリシア・ルフランさんは活動を続けています。
インドはアシッドアタック最多国?硫酸入手が簡単すぎて被害者続出?!
今や中国を抜いて人口が世界最多になるインド。
インドでは現在も男尊女卑が色濃く残っており、アシッドアタックも多発しています。
SNSを見ると、インドへ行く予定だがアシッドアタックが怖いという書き込みが多数見つかりました。
インドでは男女の痴情のもつれで、日常的にアシッドアタックがあるようです。
その理由には、濃酸類が簡単に手に入ることがあげられており、化粧品が売られているのと同じようにあちこちで濃酸類が売られているのだとか。
さらにインドの被害者たちは、政府がきちんと機能していないことも問題としてあげていました。
酸をかけられても、警察は捜査もしないと言います。
そんな無法地帯ともいえるインドでは、助けてもらえないのならば自分たちでどうにかしようと立ち上がる女性も増えているようです。
インドに、アシッドアタック(酸攻撃)の被害を受けた女性により運営されているカフェがあります。
顔のやけどなど体と心に傷を負った女性は家に引きこもりがちですが、このカフェは被害者女性が勇気と自信を取り戻す後押しをする場所となっています。 pic.twitter.com/AXCTGeja6c
— BuzzFeed Japan News (@BFJNews) August 31, 2019
上記の画像は、アシッドアタックを受けても強く立ち上がっている女性たちが印象的です。
アシッドアタックの後に自殺する人も多い?
アシッドアタックを受けると、これまでの自分の姿とはまるで別人になってしまいます。
そもそも、犯人たちは相手女性の美しい外見を潰し精神的な苦痛を与えようと犯行に及ぶのです。
被害にあった女性たちは、口をそろえて「自分が死ぬことを願う」と言われています。
溶けた顔を醜く感じ、生きる希望を失ってしまうのだとか。
国によっては救済の手が差し伸べられることもなく、せっかく命が助かっても自殺を選んでしまう人も多いようです。
世界中で増加しているアシッドアタック、そのほとんどが男女の痴情のもつれが原因ですが、日本では無差別犯罪に使用するという、精神疾患での犯罪に「酸」が使用されていました。
アシッドアタックは日本人でも!?高崎市で起こった事件の真相とは?
国内で有名な高崎の硫酸男こと北村宣晃は、2015年に硫酸を複数の女性の足にかけるという卑劣な行為を繰り返しました。
海外のアシッドアタックとは異なり、痴情のもつれではなく、また嫉妬という動機ではなかったようです。
当初犯人は犯行を否定、メディアから大きな注目を集め日本人がアシッドアタックをした、と世間でも話題になりました。
JR高崎駅構内で起きた事件がきっかけとなり、犯人は逮捕されていますが、その後「気持ち悪い男」と非難される犯人像が浮かび上がってきたのです。
群馬県高崎市で起きたアシッドアタックとは
群馬県高崎市で起きた連続アシッドアタックは、日本人の女性がターゲットになっており、いずれも黒のストッキングをはいていたと言われています。
犯人の北村宣晃は2015年に高崎市の駅などで、硫酸を複数の女性の足にかけストッキングを溶かしやけどをさせました。
まず彼は4月2日に高崎駅構内で女性の足に硫酸をかけ、その後近くのショッピングセンターでも同様の事件を起こしています。
さらに4日後、再び高崎駅で女性の足に硫酸をかけました。
幸いにも女性たちの命に別状はなかったのですが、心に傷を負ったことはいうまでもありません。
しかし、北村宣晃に言い渡された刑は懲役2年6か月と短いもの!求刑は6年だったのですが、罪を認めて反省していると判断されたのです。
アシッドアタックといえば、顔にかけられると考えてしまいますが、なぜ彼は足ばかりを狙っていたのでしょう。
当時SNS上では鬼畜男というバッシングが飛び交っていました。
犯人・北村宣晃の犯行動機がヤバい?身勝手すぎるその真相とは!?
無差別に犯罪を犯す日本人が増加していますが、北村宣晃もそのひとりです。
実は彼は以前、自分の体液などを女性にかけ執行猶予中でした。
この時の犯行理由は、仕事のストレスだったと語っていますが、高崎駅周辺で硫酸を使った犯罪をおかした動機は「女性がびっくりするかと思って」というもの。
一説では硫酸も体液を連想させるものであり、性的な快感を感じていたのではないかと言われています。
恨みがあるわけでも、まして知人でもない女性に対して無差別に犯行を起こしました。
軽症だったとはいえ、一歩間違えば大惨事になっているアシッドアタック。
前科があり、体液から硫酸と犯罪はエスカレートしているので、北村宣晃が数年で刑務所を出てくることに不安を持つ人も多いようです。
硫酸はバッテリーから?自分で製造していた!?
北村宣晃は当初犯行を否定していましたが、自宅から硫酸付きの手袋が見つかり、硫酸の情報をネットで調べていたことが証拠としてあげられました。
日本国内で硫酸は購入可能ですが、購入時には身分証や住所や名前、使用目的を記入しハンコも必要です。
そこで北村宣晃はバッテリー液に目をつけたのでしょう。
バッテリー液には電解液と呼ばれる「硫酸と水を合わせたもの」が使用されています。
当然硫酸は取り扱い注意の劇物。
このことを事前に調べたうえで自ら硫酸を製造していたようで、実に計画的な犯行だったかがわかります。
北村宣晃は液体をかける事に固執?他にもある液体をかけていた!?
逮捕後、北村宣晃は前科が多数あると報道されています。
過去には女子高校生のバックの中に空き缶を入れているのですが、なんと中身は自分の体液や尿だったのです。
しかしこの事件は複数回あったうちのひとつだったようで、同様の犯罪を繰り返して自分の欲求を満たしていました。
また2014年にはケーキシロップを女性にかけたり、下着を盗んだり、その犯行は続いていたようです。
彼はゲームクリエーターでしたが、連続する犯罪にどこに行っても長くは続かず、彼の生み出すゲームは女性蔑視のものでした。
北村宣晃のターゲットはいずれも女性で、性的な欲求と女性蔑視が原因といえるのではないでしょうか。
北村宣晃は明治大学を出ており高学歴であるけれど、かなり内向的で一説では精神疾患で病院に行っていたという噂も流れています。
人付き合いが下手で、うまく発散できないストレスを女性へと向かわせてしまったのでしょうか。
被害者女性のその後がヤバい?!真相とは?
高崎の硫酸事件で被害にあった女性たちは、いずれも軽症でしたが硫酸をかけられたという心の傷は大きいものだったはずです。
40代の女性と20代の女性が同日に、何かの液体をかけられ足にけがを負いました。
この事件が報道されると、同じ場所にいた20代の女性が、自分もストッキングに穴が開いて皮膚が赤くやけどをしていると後日被害届を出しています。
この女性は大学生で、着ていたセーターにも穴が開いていたとのこと、かけた硫酸は決して少量ではなかったのかもしれません。
さらに数日後には、高崎駅で右足の甲にやけどを負った女性がストッキングも溶かされていたことに気が付きます。
軽いやけどとはいえ、皮膚の色が変色してしまった被害者もいるようで、一生の傷を抱えたことになるのではないでしょうか。
アシッドアタックへの対策はある?
日本ではあまりなじみのないアシッドアタックですが、実は2021年に東京白金高輪で、男性がいきなり硫酸をかけられるという事件が発生しています。
この時男性に硫酸をかけたのは、被害者の知人である花森弘卓であり、犯行動機はいじめられたから。
しかし、周囲によるといじめはなかったと言われています。
この事件により、多くの人が模倣犯の出現を心配し始めました。
実は日本でも硫酸は誰でも買えるものであり、前述したように身分証などがあれば薬局で購入できます。
正直なところ、いきなり思いもよらない場所でかけられる硫酸への対策は難しいのではないでしょうか。
しかし、出来る対策としては失明を免れるために、目を保護する眼鏡をかけておくといいと言われています。
また不安を感じる人は、なるべく一人で歩かず、常に水を持参するというのも対策のひとつではないでしょうか。
アシッドアタックをされたらどうすればいい?
通常の犯罪は人気のない場所で起きる、というのが定番ですが、強い恨みなどから起こるアシッドアタックは、人が多い場所でも起こりうる犯罪です。
もしもアシッドアタックをされてしまったら、少なくとも30分以上は大量の水で洗い流すことが重要。
心臓や肺にまで達してしまわないよう、出来るだけはやく水で流したいものです。
また、周囲に人がいたら「水を持っている人はいませんか」「救急車を呼んでください」など具体的に助けを呼んでください。
可能であれば、指をさすなどして特定の人に呼びかけをするのが効果的です。
「助けて」という言葉だけでは、なかなか人は行動に移せません。
あまり考えたくはありませんが、日本は無差別に犯罪を犯す人が増加しているように感じます。
アシッドアタックによる犯罪が増えないともいいきれないのではないでしょうか。
アシッドアタックは卑劣すぎる犯罪
アシッドアタックは相手を一生苦しめてやろうという、卑劣極まりない思いから発生する犯罪です。
被害にあった女性たちの中には、犯人に負けたくないという気持ちで立ち上がり、堂々と生きている女性たちもいました。
彼女たちは本当に美しく強い女性達なのでしょう。
日本でも酸による犯罪はゼロではなく、遠い国の問題というわけではないのです。
アシッドアタックは現在、殺人罪よりも軽い刑となっています、しかし実際は殺人罪と同等の重い刑となってしかるべきなのかもしれません。